今回は骨折後のむくみについてお伝えいたします。
骨折とは
骨折とは「骨の連続性が断たれた状態」です。ですから一般的に言われる「骨にヒビが入った」という状態も骨折とみなします(ヒビという病名はありません)。
また骨折には外見が大きく変化して骨が折れているとわかるものや、関節以外の部位の骨が動く(曲がる)ものなど、多岐に渡ります。つまり、ヒビが入っているという外見からはわかりにくいものから、外見が大きく変形してしまうものなど様々です。そのため骨折しているどうか、わかりにくいことがあります。その際、一つの目安となるの症状が「圧痛」です。骨折したところを強く押すと、打撲ではない鋭い痛みを感じます。
骨折している場合は、強打したり捻った直後から痛みが継続します。痛みが一週間以上続いている、一週間以上経っても痛みが引かない、むしろ痛みが強くなり違和感のあるところがどんどん腫れる、等症状がみられた場合には自己判断して放置はせずに、整形外科を受診してレントゲンを撮って診断してもらうことをおすすめします。
骨折よる腫れやむくみは、冷やしたほうが良い場合とあたためるほうが良い場合いがあります。骨折したかもしれない、と思った場合には出来るだけ早めに診断を受け適切な処置が必要です。整形外科では何れにしても最終的にレントゲンで骨の撮影をして、骨折か打撲か等の判断をしています。
骨折してから数時間後には周辺の部位が出血や炎症により腫れます(大量に出血して意識を失うこともあります)。この腫れが引くまでには二週間から数ヶ月かかります。骨折した場所やその程度より変わってきますので注意が必要です。この腫れを放置すると骨が萎縮してしまい、骨折したところ以外の骨もスカスカになってしまうことがあるからです。
骨のなかに、骨髄液があります。骨折するとこの骨髄液に含まれる脂肪が漏れて、血液に流れ出てしまうことがあります。この脂肪が頭の太い血管を塞いでしまい、命の危険に及ぶこともあります。
骨折後のむくみ
骨折後にむくみがあらわれることが良くあります。
むくみとは浮腫(ふしゅ)ともいいます。むくみとは、正常な血液の流れを維持し、本来ならば水分の貯まらないところに水分がたまり、ふくらんでしまうことです。骨折後は骨折したところから炎症し、また骨折した部位をギブスなどで固定することから動かすことができず、よりむくみの症状がひどくなります。
骨折は骨折した場所とその程度により治るまでの時間も、治療方法も大きな違いがあります。
ですから全ての骨折でむくみがあらわれるとは言えませんが、大抵の骨折ではむくみがあらわれます。このむくみが引くまでには個人により違いはありますが、六週間から数ヶ月かかるといわれています。むくみとともに痛みをともなうことみありますので、むくみはできるだけケアする必要があります。
そしてケアにより、むくみを軽減することはできます。骨折の場所にもよりますが、骨折をしてギブスなどで固定しているところから先のところを心臓より高くすることで、むくみを軽減させることができます。
例えば膝を骨折した場合には、日中の活動時は無理でも、就寝している間は膝から爪先を高い場所に保定しておくとむくみが軽くなります。
また骨折しているところはしっかりと固定して、他の全身の運動は意識して行なうことをおすすめします。運動をしないと骨折していないところの筋力が衰えてしまうことがあり、全身の血液の流れを悪くしてしまい、むくみが酷くなることがあるからです。
リハビリテーションを専門とする理学療法士のアドバイスを得られると、骨折の病状に合わせたリハビリテーションを行ってくれますし、無理のない範囲で出来る運動を教えてくれます。早く治したくて自己判断で負荷をかけすぎた運動をすると、かえって症状を悪化させますし治るまでの時間が長くなるばかりではなく、拘縮したり骨がきちんとつかず、炎症や酷い痛みとなることもあります。
骨折は打撲や捻挫と勘違いしやすい病気でもありますので、骨折とは気がつかずに放置してしまう方が多くいらっしゃいます。先にも述べましたように、放置しておくと命に関わる場合もあります。
腫れやむくみは骨折かもしれない、というサインでもあります。
受診をする際には、整形外科をおすすめします。問診ではまず、何をしたか、いつから続いているのか、と聞かれます。
また、殴打したり捻った覚えはなくても骨折してしまうこともあります。骨粗鬆症による骨折や、繰り返し激しい運動しているスポーツ選手によく診られる疲労骨折です。
腫れやむくみは放置せずに身体のなんらかの異変を教えてくれているサインと捉え、適切な受診をしてください。
執筆者プロフィール
保健師 看護師 資格有り
看護師経験 :消化器内科外科
保健師経験 :社会福祉施設、保健所(母子保健担当)、病院併設健康管理センターにて産業保健指導担当
ココナラにて健康相談、医療健康記事執筆サービス提供。ご依頼はココナラ内から【保健師 YWFH】まで。