プロのむくみ解消アドバイス

足のむくみのためのストレッチ【理学療法士執筆】

投稿日:8月 26, 2017 更新日:

「仕事中、ずっと座っている」「長時間立っていることが多い」「夕方になると足がパンパンになっている」・・・という経験はありませんか?
このような症状を「むくみ=浮腫(ふしゅ)」といいます。
なぜ、浮腫が起きてしまうのでしょうか。ここでは、浮腫に関することをお伝えしていきたいと思います。

むくみ(浮腫)とは

ヒトの体重の約60%は体液で、体液は細胞内液と細胞外液(血液・組織間液・リンパ液・髄液)に分けられます。体内の水分は細胞の代謝、物質の運搬に重要なだけでなく、血液と組織液との間の物質の交換も水の移動によって行われています。
しかし、何らかの理由で毛細血管の透過性の亢進、毛細血管圧の上昇、リンパ管の閉塞などが起こると浮腫になります。要するに浮腫は、皮下組織の細胞外,特に細胞間隙に水分が異常に増加した状態を指します。 浮腫は水分の貯留によって起こることから「水腫」とも言います。

むくみ(浮腫)の原因

脚のむくみは5Pが関与しています。

①pressure(静脈圧)
②protein(たんぱく質)
③permeability(透過性)
④paresis(麻痺)
⑤pendency(下垂)

第二の心臓とも呼ばれている、下肢の筋肉「ふくらはぎ」。長時間の立位、座位などで、ふくらはぎを動かさずに下垂したままでいると、下肢に血液が溜まってしまいます。そうすると心臓に向かう血液が停滞し、静脈の圧が上昇します。静脈の圧が上昇すると、静脈弁の機能が低下してしまい、血管外への血液成分が細胞間に貯留してしまい、浮腫が起きてしまいます。
また、

・たんぱく質の過剰摂取やたんぱく質不足
・塩分や水分の過剰摂取

などでも浮腫が起こります。

むくみ(浮腫)の種類

足が通常の大きさではないと感じた時、常時「むくみ(浮腫)」だということはありません。足が「腫れる(はれる)」「大きくなっている」状態には種類があります。

●むくみ(浮腫)・・・水分の貯留

●腫脹(しゅちょう)・・・血液成分の貯留(炎症の4大徴候の一つ)

脚を角に打った時などに、その部分が腫れあがることあります。それは浮腫ではなく、腫脹です。
組織の修復時に、血管壁の透過性が亢進され、血液成分が血管外へ出ます。これを滲出といいます(滲出によって出たものを滲出液といいます)。この滲出によって細胞障害付近に血液成分が貯留し、体積の増加が起こることを腫脹と言います。

浮腫は簡単には解消されませんが、たいてい翌朝には解消されていることが多いです。
しかし翌朝まで治らない、なかなか治りにくいという方は、病院に行くことをお勧めします。
浮腫は心臓、腎臓、肝臓、内分泌系、薬剤性などの疾患の症状として現れることがあります。
一過性の浮腫にはストレッチや挙上で浮腫は軽減しますが、上記が原因の場合には、むやみに下肢のマッサージをするとリンパ管が圧迫され、リンパ管が壊れ、浮腫がさらに悪化するという逆効果となります。
全国的にリンパドレナージュを行っている病院が少なく、自由診療が多いため費用がとてもかかりますが、確かな知識がある施術者に行ってもらうことが重要です。一時的に浮腫が軽減しても再発しやすくなる、以前に比べて浮腫が軽減しにくいなどのことが起きるためです。

むくみの予防3つ

予防には以下の3つを行う必要があります。

運動

下肢の筋肉を使用する運動(散歩やジョギング、階段の上り下りなど)を積極的に行っていきましょう。
また仕事の合間に、つま先を挙げたり下げたり、膝を曲げたり伸ばしたりなどの運動もこまめに行うことで効果的に浮腫を予防できます。

下肢挙上

浮腫は簡単に軽減しないため、日々のお手入れが必要になります。もっとも簡単な予防として、寝る時に足の下にクッションを入れて、少し足を高くして寝るということが効果的です。

マッサージ・ストレッチ

脚の浮腫を解消するにはマッサージやストレッチがとても効果的です。マッサージは強く押す必要はありません。赤ちゃんの頭をそっと撫でるような感覚の優しいタッチで撫でていきます。
下肢のリンパ節は足首、膝裏、鼠径部、左鎖骨下にあります。足裏から始める場合はまずは足首のリンパ節に向かって、ふくらはぎを行う際は膝裏に向かって、というように徐々に上方へとマッサージを行っていきます。

むくみ解消のストレッチ

ストレッチの効果として、①循環改善 ②身体の柔軟性向上などがあります。
下肢の血液循環が悪くなり浮腫が起きている場合は、ストレッチやマッサージがおすすめです。リンパの流れを考えると下肢全般の筋群のストレッチを行っていく必要がありますが、時間がない方は、ふくらはぎの筋肉「腓腹筋」と「ヒラメ筋」に対してだけでも行ってください。
下肢のストレッチの場合、注意してほしいことは「膝が曲がっているか、曲がっていないか」です。腓腹筋は二関節筋と呼ばれる筋肉のため、膝が曲がっていると十分に伸張されないためです。開始の膝の位置に注意し、約20秒間じっくりと伸ばしてあげてください。

二人で行う場合

腓腹筋外側頭のストレッチ

開始肢位:仰向けになり、両膝関節を伸ばしましょう。
自分の位置:右側。右手で踵を包み込むように保持して、右腕は足底に沿わせます。
左手で足首付近を前面から固定します。
伸張法:足関節を背屈(つま先を顔の方向へ)します。伸張する方向は脚より外側へ
向けて行います。

腓腹筋外側頭ストレッチA腓腹筋外側頭ストレッチB

腓腹筋内側頭のストレッチ

開始肢位:仰向けになり、両膝関節を伸ばしましょう。
自分の位置:右側。右手で踵を包み込むように保持して、右腕は足底に沿わせます。
左手で足首付近を前面から固定します。
伸張法:足関節を背屈(つま先を顔の方向へ)します。伸張する方向は脚より内側へ
向けて行います。

腓腹筋内側頭ストレッチA腓腹筋内側頭ストレッチB

ヒラメ筋のストレッチ

開始肢位:仰向けになり、両膝関節は軽く曲げた状態で、膝の裏に枕を置きます。
足先は少し外側に向けましょう。
自分の位置:右側。右手のひらで踵を包み込むように保持し、右腕を足底部に沿わせます。左手で足首付近を前面から固定します。
伸張法:足関節を最大背屈(つま先を顔の方向へ)します。

ヒラメ筋のストレッチAヒラメ筋のストレッチB

ヒラメ筋のストレッチ 2

開始肢位:うつ伏せになり、右膝関節は約90°曲げ、足首は外に向けます。
自分の位置:右後方。右手で外側の足底中心部を、左手で内側の足底中心部を保持します。
この時、両母指は足底部に置くようにしてください。
伸張法:足関節を最大背屈(つま先を顔の方向へ)します。

ヒラメ筋のストレッチ2Aヒラメ筋のストレッチ2B

大殿筋のストレッチ

開始肢位:仰向けになり、右股関節、膝関節は軽く曲げます。
自分の位置:左ふとももの横に立ちます。左股関節が曲がらないように、自分の左膝で左ふともも前面を固定します。両手で右膝関節上部を保持します。
伸張法:右膝関節を左胸の方へ、股関節をゆっくり曲げていきましょう。

大殿筋のストレッチA大殿筋のストレッチB

一人で行う場合

仕事の合間に立ったままでできるストレッチをご紹介します。
一人で行うことにはメリット、デメリットがあります。メリットは自分の判断で強さを変更でき、程よい痛みで行えることです。デメリットは痛みを我慢して筋肉を傷めつけるまで行ってしまうこと、またその逆で痛みのない範囲で止めてしまう恐れがあることです。
ストレッチは痛すぎても、痛くなさ過ぎてもいけません。また呼吸を止めてもいけません。「程よい痛み」で、「通常の呼吸を行える強さ」で行いましょう。

腓腹筋のストレッチ

開始肢位:壁か手すりを把持し、足を前後に開きます。
伸張法:後ろの足を床に着けたまま、前方に重心をかけていきます。

腓腹筋のストレッチ

大腿四頭筋のストレッチ

開始肢位:片方のつま先を持ちます。
伸張法:踵をお尻につけるように行います。
※立位ではバランスを崩しやすいので、気をつけましょう。

大腿四頭筋のストレッチ

臥位(寝た状態)が可能であれば下記のように行ってみましょう。

大腿四頭筋のストレッチ2
大腿四頭筋のストレッチ3

臀部のストレッチ

開始肢位:右膝を両腕で抱えるようにします。
伸張法:右膝を右胸、そして左胸へと引き寄せます。
※腰痛がある方は、伸ばしている膝を曲げて行いましょう。

臀部のストレッチ1

ハムストリングスのストレッチ

開始肢位:仰向けで片足を挙げ、足の裏にタオルかけ、両手でタオルを把持します。
伸張法:膝をしっかり伸ばし、ゆっくり股関節から足を挙げていきましょう。
※ハムストリングスが固い人は腰痛が起こりやすいので、最初から足を高く挙げようとはせずに、「膝を伸ばすこと」を意識して行ってみてください。

ハムストリングスのストレッチ立位

立位で行う場合

ハムストリングスのストレッチ立位

足のむくみのストレッチまとめ

水分、血液、老廃物、リンパ液などが溜まって起こる浮腫の場合、足の筋肉のポンプ作用がうまく作動していないことで起こります。同じ姿勢でいると起こりやすいため、仕事の合間や、休憩時間を利用してストレッチを行い、浮腫のないスッキリした足で日々過ごしていきましょう。

執筆者 プロフィール

理学療法士 yse0824
整形外科勤務経験あり
https://crowdworks.jp/public/employees/1050066

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