朝起きたとき顔がはれぼったい感じがする、夕方になると靴が窮屈になるといった症状があらわれる、「むくみ」。私たちの体は約60~65%は水分から成り立っています。この水分が血液などの体液となり、酸素や栄養を細胞へと届けて、老廃物を尿として排泄しています。この働きが何らかの原因で滞り、余分な水分や老廃物を体の中に溜め込んでしまう状態をむくみといいます。今回は、むくみを取る食事についてご紹介します。
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むくみが起きる原因
むくみは、セルライトの原因になるともいわれ、下半身に皮下脂肪をため込みやすい女性は、下半身太りになりやすくなります。下半身をダイエットしたい人にとって、むくみを解消することは大事なことです。
むくみは、生活習慣や食習慣などのさまざまな原因から引き起こされます。自分自身がむくみやすいかどうか、むくみ度チェックで一度チェックしてみましょう。
むくみ度チェック
- 一日のうちで同じ姿勢でいることが多い
- 体が冷えやすい
- 睡眠不足
- 運動不足
- 濃い味付けのものが好き
- スナック菓子や加工食品をよく食べる
- 朝食を抜く
- お酒をよく飲む
いかがでしょうか。チェック項目が多ければ多いほどむくみ度が高い習慣があると考えられます。
むくみをとる食事のポイント
むくみが起きる原因別に、食事の対策方法をご紹介しましょう。
塩分を取り過ぎない
濃い味付けを好む人やスナック菓子や加工食品(漬物、干物、パン、麺類など)をよく食べる人は、ナトリウムを多く取り過ぎてしまい、カリウムとのバランスが崩れてしまっていることがむくみの原因となります。
塩分をとり過ぎると、血液中にナトリウムが増えてしまいます。これを薄めようと水分を体の中にため込もうとするため、むくみやすくなってしまいます。カリウムとナトリウムは細胞内と細胞外の浸透圧を調節して、水分やいろいろな成分を調整するはたらきをもっています。カリウムはナトリウムを排泄する作用がありますので、塩分を取り過ぎた場合、カリウムを含む食品を摂るとむくみの改善につながります。
日本人の食事は、しょうゆやみそなどの調味料をよく使うため、塩分を取りやすい食事といわれています。日本人の食事摂取基準2015年版では、1日の塩分摂取量を男性8g未満、女性7g未満としています。食材に含まれる塩分量を知り、1日の塩分摂取量をオーバーしないように注意することが大切です。もし、その日にオーバーしてしまったら、翌日で塩分量を調整するようにしましょう。
食塩を多く含む食品の塩分量
1位 即席中華麺 6.9g (1食分約100g)
2位 カップ麺 5.2g (1食分約75g)
3位 塩いわし 4.9g (約80g)
4位 梅干し 4.4g (1個約20g)
5位 さきいか 3.5g (約50g)
インスタントラーメン、塩干物などの加工食品やスナック菓子には塩分が多く含まれていて、一食で一日分に近い塩分量が取れることがわかります。ほかにも、漬物や梅干し、ハムなども多く含まれています。加工食品の利用や外食はなるべく控え、塩分の多い食材を重ねてとらないようにしましょう。
塩分を取り過ぎない食事の工夫として、こんぶやかつお節、煮干しなどのだしの風味を生かして調味料を減らすことや、しょうゆ、ソースなどの調味料を使用するときは、「かける」のではなく、小皿にわけて「つけて」食べることなどがあります。また、香味野菜やハーブの風味、柑橘類や酢などの酸味を生かすと調味料の量を減らすことができ、塩分のとりすぎの予防に役立ちます。
カリウムを積極的にとる
カリウムを多く含むおすすめ食品
1位 バナナ 100g(約1本)
2位 アボカド 70g(約1/2個)
3位 納豆 50g(約1/2パック)
4位 干し柿 70g(約1個)
5位 ほうれん草 50g(約1/4わ)
カリウムは、野菜、果物、芋類(さといも、さつまいもなど)、大豆、昆布などさまざまな食品に含まれています。毎日の食事に野菜や海藻、豆類を取り入れたおかずをプラスするようにしましょう。
カリウムは、幅広い食品に含まれていますが、不足しやすいミネラルです。調理するときに、しょうゆ、みそなどの塩分の高い調味料をたくさん使ってしまっては、ナトリウムの量も増えてしまい、ナトリウムとともにカリウムは排泄されてしまいます。また、調理でも失われやすく、煮る調理方法では約30%失われてしまいます。そのため、カリウムを補給するときは、そのまま食べられる果物やドライフルーツがおすすめです。
朝食を食べる
時間がないから、ダイエットになるからと朝食を抜いてしまう人も多いですが、朝食を抜いてしまうと、体温を上げることができずに手足や体に冷えを感じてしまいます。体が冷えてしまうと血行が悪くなり、リンパの流れも滞ることでむくみの原因になります。
朝食は、そのまま食べられる納豆や果物、ヨーグルトなどを自宅に常備し、必ず食べるようにしましょう。忙しい朝でもバナナ一本、みかん1個など果物をとり入れるように心がけるようにするとカリウムも補うことができます。
また、血行の改善に役立つのはビタミンEです。朝食にビタミンEを含む食材を食べて、血液の流れをよくすることで、冷えを改善して、むくみ解消につながります。ビタミンEは、かぼちゃ、アボカド、ナッツなどに多く含まれています。
むくみをとるレシピ
カリウムを含む食材であるアボカドやトマトを使用した簡単レシピをご紹介します。
アボカドは、「森のバター」とよばれるほど脂肪が多いのですが、アボカドに含まれる脂肪の多くは、オレイン酸で血液中のコレステロールをよい状態にしてくれる良質な脂質です。食事にアボカドを1/2個食べると満足感が増すといわれていて、ダイエット中におすすめの食材です。カリウム以外にも抗酸化作用のあるビタミンEや食物繊維も多く含まれています。
簡単!アボカドのレモンサラダ
材料(2人分)
ベビーリーフ 1パック
アボカド 1個
トマト 1個
塩 少々
レモン 1/2個
オリーブオイル 小さじ2
作り方
- ベビーリーフは、洗って水をきっておきます。アボカド、トマトは、一口大の食べやすい大きさに切ります。
- 1に塩を少々ふり、レモンを絞ります。
- 2を軽く混ぜたら、オリーブオイルを全体にかけてできあがりです。
レシピポイント
- レモンに含まれるビタミンCといっしょに取ることで、美肌や疲労回復の効果が期待できます。レモン果汁でも代用できますし、バルサミコ酢やワインビネガーなどの酸味を効かせてもおいしく減塩できます。
- ベビーリーフはレタスやブロッコリー、トマトはミニトマトなどお好みの野菜で作ってもいいでしょう。グレープフルーツなどの果物を代わりにいれてもおいしく仕上がります。
- 塩は、食塩よりも粗塩のほうがカリウムなどのミネラルが多く含まれ、減塩につながります。調味料は、1回の使用量が少なくても毎日使うものですので、なるべく塩分の少ないものを選ぶことをおすすめします。
むくみを取る食事まとめ
むくみは、余分な水分や老廃物を体内に溜め込んでしまっている状態です。むくみの原因はさまざまですが、日頃の生活習慣や食習慣が影響しています。自分自身のライフスタイルを見直して、むくみを引き起こしやすい原因となるものを改善していきましょう。毎日の食事が味付けの濃いものや加工食品の利用が多い場合は、塩分の取り過ぎによるナトリウムとカリウムのバランスが崩れていることが原因です。自然のままの食品は、低ナトリウム、高カリウム食品がほとんどです。塩分の多い食品はなるべく控えるようにし、カリウムを含む野菜や果物、海藻類などを積極的に食事に取り入れるようにしましょう。
執筆者プロフィール
管理栄養士・栄養士
内科・外科・整形外科・皮膚科・小児科を持つ病院に勤務経験あり。
糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病や特定保健指導を実施
その他、嚥下困難者対象の在宅支援や介護者のための調理指導、脱水予防講演など担当